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喫茶店と和菓子屋さん~その③ [お仕事話]

待ちに待ったオープン初日。
8時の出勤にもかかわらず、あっという間に開店の時間を迎えた。
老舗の和菓子屋でありながら、洋菓子のテイストを加えたそのお店の第一日目は、辛うじて目標金額に届いた。
しかし、2日・3日と過ぎるにつれて、その勢いはどんどん衰えていく。
1ヶ月を経過すると、その数字に驚かされた。
喫茶店の金額を入れても、前年には届かなかったのである。
その原因は明らかだった。看板には新店舗の名前のみで、老舗和菓子屋の名前がない所か、今まで販売していた菓子をすべてパッケージ変更、および新商品の不発。そして一番の決定打は、建物内でのうちの店の立地条件であった。

お客様の反応もさまざまだった。
『素敵なお店になったわね』『使いやすくなったわ』
そんなお声の裏には
『随分、買いにくくなった』『和菓子屋らしくない』
というお声もいただいた。
最も辛かったのは、
『老舗の和菓子屋が恥ずかしくないのか』と、罵倒する人の声だった。

後輩たちが口をそろえて言う
『売上も悪くて、自分たちのせいではないのに謝って、悔しいです』
そうなのだ、自分たちの力ではどうにも出来なかった。
それでも、喫茶併設という条件から新しい試みをしようと企画の先輩やら上司やら、みんなが新店舗に対して力を注いだ。
しかし、プロデュースをしているS社がそれを阻んだ。厨房&ホールの人事面と、商品企画面でS社は大きな壁だった。
私がどんなにあがいても、超えられない壊せないものがそこにはあった。

本社の顔見知りの人間たちは
『随分、不調ですね。頑張ってくださいよ』『ちゃんとやれよ?(笑)』
と言ってきた。
私がどんなに苦汁をなめているか知っている人間は、一言も頑張れとは言わなかった。

結局、老舗の看板を取付けたり、店頭で販売する商品を新店舗限定から元に戻すまで、10ヶ月かからなかった。
その期間、何度この大好きな仕事を辞めようと思っただろう。
そんな中でも、1年が過ぎようとしていた11月・・・やっと、光が見えてきた。
喫茶の好調により、少しづつ以前のお客様が店頭にも戻ってきたのだ。

・・・もう少し、あと少しで予算に手が届く・・・

その頃だった、社長がお痩せになったのは・・・


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Baldhead1010

ご訪問ありがとうございました。
商売・・難しいですね。
お客さんが今何を一番欲しているのか、それを知ることでしょうか。
自分たちがこうして考えて、こうしてプロデユースしたことは間違いなくいけるんだという裏付けが欲しいですね。
そこには顧客満足という視点がとても大事だと思います。
by Baldhead1010 (2005-07-10 14:17) 

Runa

コメントありがとうございました。
フルーツ大好きですが れなさんの こちらの 和菓子
甘味やさんの お写真には とても そそられました~
私も 抹茶 あずき 大好きです。
和菓子は 洋菓子とは 違う 日本人の 味覚に
あうものだと 何時も思っています~
夏が来たので 抹茶白玉あずきが 楽しみでしかたありません~
by Runa (2005-07-10 14:44) 

れの

Baldhead1010さん>こちらこそ、わざわざ来ていただいてありがとうございます(。-人-。) ・・・そうなんですよね、顧客満足、それがその時のうちの会社に欠けていたんです。

Runaさん>ご来訪ありがとうございます。写真は実際にお店でお出ししているものです。これまた、美味しいんですよぉヽ(´エ`)ノ
by れの (2005-07-10 20:28) 

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